You’re My Love・あなたは私の愛しい人

曲名:
You’re My Love(ユーアー・マイ・ラブ)

アルバム名:
ORIGINALS(オリジナルズ)

作者:PRINCE(プリンス)

2016年4月21日 57歳の若さで逝去した希代の天才アーティスト・プリンス。
「SIGN ‘O’ THE TIMES」で彼の音楽の虜になって以来、今日まで「プリンスの曲」が頭から離れたことはない。マイ・フェイバリット・ミュージシャン・・・こんな言葉では言い尽くせないほど彼の音楽に心酔している。私にとって彼は「音楽の神」だ!
もう、ほとんど信仰の対象である。
そう!私は彼の音楽を信じているのだ!
彼の才能を信じているのだ!

彼の訃報はテレビニュースで知った。
まだ夢の中にいた私の耳に、妻の慌てふためく声が鳴り響く・・・
「パパ!大変!プリンスが死んだ!」
・・・・・
・・・・・
・・・・・
えっ?

突然の訃報に驚きはしたが悲しみはなかった。
あれだけ私を虜にしていたプリンスがこの世から消えたというのに、全く損失感はなく、涙一つ流れなかった。ただ、ぼんやりと「ああ、これで膨大な未発表曲が放出されるんだ・・・」と、むしろ期待に胸が膨らんでいた。

こんな事を書くと、「なんて非情な人間なんだ!」と全国のプリンスファンからお叱りを受けるだろう・・・しかし、これが敬愛して止まないプリンスの訃報を聞いた素直な感想なのだ。

プリンスファン以外にはピンと来ないかも知れないが、「プリンスの未発表曲」には特別な意味が込められている。とにかく彼の作曲能力は無尽蔵で、暇さえ有ればスタジオに籠もりレコーディング・・・常に5枚分のアルバムに相当する曲が頭の中に、まるで「呪い」のように流れ続けているらしく、彼はそれらの曲を聞きながら、ピアノを弾き、ドラムを叩き、ギター・ベースを掻き鳴らし、詩を書き、ボーカルを歌い、コーラスを重ね、1つの曲をほとんど1人で、あっという間に作り上げてしまうのだ。しかもストックされている曲は500曲以上!・・・
つまり、この先、何十年に渡って、天才プリンスが全身全霊を込めて作り上げた楽曲が発売され続けるのだ!
まあ、少しくらい脚色された部分もあるかも知れないが、おそらく現実も大差ないだろう。何故なら実際に、彼が20歳で大手ワーナーブラザーズから新人としては破格の契約(誰の指図も受けずに自由にアルバムを作れる)を結んで以来、ほぼ毎年1枚以上のアルバムを発表し、その中には2枚組、3枚組、5枚組なんて聞く側も体力を要する凄まじいボリュームのアルバムも存在し、その他にもシングルのカップリング、12インチシングルにも決して手を抜かず、他アーティストへの提供曲も信じられないくらい膨大な数だ!常にファンの度肝を抜き(全裸ジャケット含む)、音楽業界を震撼させ、他のアーティスト達に多大な影響を与え続けた・・・。

彼の才能は多岐に渡り、とても語り尽くせないのでこの辺で止めておくが、その才能の凄まじさを端的に現わしているのが「プリンスの未発表曲」なのだ。

プリンスの死後、数枚の未発表曲を含むアルバムが発売されているが、今回紹介するのはプリンスが他のアーティストに提供した楽曲集「オリジナルズ」の一曲。
他のアーティストが発表しているので厳密には「未発表曲」ではないが、これはプリンスによるセルフカバーではなく、提供する前に録音された完全なるオリジナルなのだ!

You’re My Love(ユーアー・マイ・ラブ)

プリンスの死後に発売されたアルバムは驚きの連続だった。
死してなお、世界中のファンを楽しませてくれる音楽神プリンス。
おそらくお空の上でニヤニヤと 楽しそうに(あの悪戯っぽい可愛らしい笑顔で!)眺めていることだろう。

その中でも特に驚いたのが「You’re My Love(ユーアー・マイ・ラブ) 」。
余りにも驚き過ぎて、好きなプリンスの曲ランキングに地殻変動が起きた!
プリンスファンになってから長らく1位の座を独占していた「Strange Relationship」を押しのけて、堂々のランキング1位に君臨してしまったのだ!
今は、気をゆるせば「ヨーマラー・・・」と口ずさみ、気が付くとスピーカーから曲が流れている。
私の心、いや、魂を虜にし、常に聞きたくて仕方がない困った曲。

この曲はケニー・ロジャースに提供された爽やかなラブソング 。カントリーシンガーに曲を提供するのは珍しく異色の組み合わせ。私自身、 ケニー・ロジャースに関しては ウィアーザワールドで歌声を聞く程度の知識しかないが、この曲の存在を知った時は「本当かな?」と疑う気持ちの方が大きかった。そして実際にケニー版「You’re My Love」を聞いた時、疑いの気持ちは更に強まった。

聞いた感想は、全然プリンスっぽくない。
爽やか、実に爽やかなリズムとメロディー。
ふくよかで包み込むような優しい歌声、後半に絡む美しいデ・バージのコーラス。
気に入った、即気に入った。
だけど全然プリンスっぽくない。
余りにも爽やか過ぎる・・・。

先ほども説明したようにプリンスは膨大な曲を制作しているが爽やかな曲は少ない・・・というより殆ど無いといって過言ではない。いや、無いこともないが、必ず1ひねり2ひねりアイデアを効かせ、天才の片鱗を漂わせるのだが・・・この曲はそんなひねりも無く素直なメロディーの良曲なのだ。

この曲をケニーの様に爽やかに歌うプリンスを想像したら・・・もう辛抱たまらない。
youtubeでプリンス版が海賊版として出回っていないか?くまなく探してみたが見つからない。
もしかしたら存在していないかもしれない・・・。
期待や想像も虚しくなるだけか・・・。

そんな中、「オリジナルズ」の発売がアナウンスされ、その曲目に目を通すと、なんと、なんと!?、なんと!!!「 You’re My Love 」があるではないか!
私は狂喜乱舞しながら、妄想が決壊したダムのように溢れ出した。「ああ、プリンスがあの爽やかな歌い方をするのか?」「聞きたい!早く聞きたい!」。
もう遠慮する必要はない!もう虚しくなる心配もない!発売まで期待しまくる!想像しまくる!

発売日、amazonから届いたCDをPCに入れ、スピーカーから流れ出た音は・・・。

えっ?
何これ?
ケニーと全然違う。
全然爽やかじゃない・・・。
どちらかと言うと陰鬱な感じ?
でも・・・
でも・・・いい。
全然いい!
って言うか何これ?
こんな歌い方するプリンスを今まで聞いたことがない。
プリンスが書いた曲の中で最もプライベートな心情を綴った曲。
本来なら他人に聞かせるのは気恥ずかしい胸の内の告白。

「あなたは私の愛しい人・・・ You’re My Love 」

それは思いもしないサプライズだった。
私の中で何かが繋がった。
そうか、この曲を聴くために長い間ずーーーとプリンスファンを続けていたんだ・・・。

ありがとう、プリンス。
こんな素敵な曲を残してくれて。

You’re My Music (ユーアー・マイ・ミュージック)

プリンスが死んでも涙一つ流さなかった私。
私にとってプリンスとは何だったのか?

「You’re My Love 」ってどんな意味なんだろう?
あなたは私の愛?恋?今一つ意味が通じにくい歌詞だな・・・
CDの対訳には「君は僕の愛する人」と書かれていたが、そんな単純な意味に思えない。
なのでGoogleで意味を検索してみたら「Yahoo知恵袋」で質問している方がいた。
その回答がこちら・・・

こういうのは雰囲気で感じ取るものです。
言語を完璧に他の言語に翻訳することは不可能でしょう。

あなたは私の愛する人
あなたは私の愛そのもの
あなたは私の愛すべて
愛ってあなたのためにあるのね

みたいな感じです。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12108774987

あなたへの愛が溢れるこの気持ちをどう伝えればいいのか?
切なくて、もどかしくて、狂おしくて、胸がしめつけられる・・・この気持ちを。

そんなプリンスの秘められた心情が歌声となって、時には泣いているように、時には甘えるように、時には懇願するように、時には幸せそうに・・・
心の中に確かに存在するが、表現できない「You’re My Love」という気持ちを歌い上げる。

私にとってプリンスは「You’re My Love」ではなかった。
彼は世界的スターであり唯一無二の天才音楽家。
数々の驚くような伝説も、彼の現実離れした存在感を強めただけ。
プリンス?
私にとっては「おとぎ話の住人」なのかもしれない。

私にとってプリンスは「You’re My Music」なのだ。
私にとってプリンスは音楽そのもの。
音楽がプリンスなのだから、彼の音楽がこの世に存在する限り、プリンスは死なない。
プリンスの音楽が存在する限り、涙は流さない。いや、流す理由がない。
彼は生きているのだから。

そして、これからも沢山の未発表曲が発売し続けるだろう。
その度に期待に胸膨らませ、そして驚き、感動し、流石はプリンス!と溜飲を下げるのだ。
これまでと変わらぬように・・・。

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