The Arms of Orion・正統派ラブソングはエロソングに勝てるのか?

曲名:
The Arms of Orion(ザ・アームズ・オブ・オライオン)

アルバム名:
BATMAN(バットマン)

作者:PRINCE(プリンス)

正統派ラブソングはエロソングに勝てるのか?
映画「BATMAN」のサウンドトラック・・・っていうかプリンス11作目のアルバムからシングルカットされた「The Arms of Orion」。

「The Arms of Orion」はプリンスにしては珍しく正統派ラブソング。
一時恋仲と噂された、シーナ・イーストンとの共演。大作映画を意識したような荘厳な作り・・・映画「エンドレス・ラブ」でのライオネル・リッチーとダイアナ・ロス、映画「愛と青春の旅だち」でのジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズ・・・など否応にも過去の流れを連想させる。

売り上げ的にはビルボード36位とプリンスにしては控え目な成績。過去の名だたる映画音楽に比べ、盛り上がりに欠けるのは否めない。

しかし、これだけはハッキリ言わせてもらう。「The Arms of Orion」に欠点がある訳では無い。その魅力を看破できないアメリカの大衆に問題があるのだ。
そして「The Arms of Orion」に未だ心惹かれない寿限無の音楽感性に問題があるのだ!

えっ?
「The Arms of Orion」ってシングルのA面だったの?
B面のエロチックファンタジーソング「I Love U In Me」の影に隠れて、A面の面目丸つぶれ・・・とふてくされる「オリオン座」の悲劇。
いやいや、君が悪い訳じゃない。
アイツが輝き過ぎるのだ!まるで淫靡な太陽のように寿限無の目を眩ますから、闇夜の光る「オリオン座」の輝きが届かないのだ!

それほど「I Love U In Me」は最高の曲。

ああ、今回は君の話だったね。「オライオン」くん。(邦題はオリオンではなく、オライオン表記)

「The Arms of Orion」は良く言えば、どこにでもある普通の曲。悪く言っても、どこにでもある普通の曲・・・つまり、どう考えても普通の曲であり、プリンス的な才気は微塵も感じられない、極々普通の曲である。

あっ、誤解のないように言っておくが、この曲に隠された真の意図を見抜けず、普通にしか感じられない寿限無の感性に問題があるだけで、「オライオン」くんは全然悪くない。プリンスも、オリオン座の影から「オライオン」頑張れ、くじけるな!と心配しエールを送っているに違いない。
いや・・・力不足で申し訳ない・・・。

寿限無にとって「The Arms of Orion」の魅力が今一感じられない理由・・・
薄々感づいていた、その理由・・・

この曲の問題点はデュエット形式にある。

いや、決してシーナ嬢が悪いわけではない。
シーナ・イーストンは魅力的なシンガーだし歌もバツグンに上手い。
だけど駄目なのだ。
誰が相手でも駄目なのだ。

この際、ハッキリ言おう!
デュエット形式だと薄まるのだ!
薄まるのだ!
プリンス臭が!
プリンス臭が薄まり、必然的に魅力が半減してしまうのだ!

その上、普通の曲。

いや、普通の曲が悪いわけではない。
そんなこと言ったら「You’re My Love」だって何の変哲もない普通の曲だし。
それでも、寿限無の好きなプリンスの曲、第一位に選ばれているのは、あの曲、無茶苦茶プリンス臭が濃いからだ!

プリンスの才能は多岐に渡るが、その中でもボーカル能力は他の追随を許さない、圧倒的魅力を誇っている。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第30位に選ばれたこともある・・・おいおい30位?集計ミスだろ?
寿限無の中では圧倒的1位!悪魔的ボーカル能力!

デュエット形式だと、それが薄まるので、無意識の内にイライラ感を募らせてしまうのだ・・・
でも不思議なことにデュエット形式でも全然問題ない場合もある。
マドンナに提供した「Love Song」はマドンナのアルバムが主体なので、プリンス臭が薄まるというより、プリンス臭が漂ってくる!・・・そんな意識の違いから曲に対する評価も変わってくるのだ。
そう言えば「U Got The Look」もシーナ・イーストンとのデュエット形式だが、こちらは、それほど気にならない。おそらく楽曲が濃すぎるお陰で、多少薄まっても気にならないのであろう・・・。

長らく、この曲の魅力に気が付かず、天上でひっそり光るオリオン座の輝きに心打たれることもなく、今日まで至っているが・・・
試しに「The Arms of Orion」からシーナ嬢の声を脳内で消し去り、プリンスの声だけを抽出して聴いてみた・・・。

完全に脳内で再生は出来なかったが、おそらく、プリンス単独で歌っていれば、間違いなく大好きになっていた曲であろう。
もし、今後、BATMANの記念アルバムが発売する際は、プリンス単独で歌う「The Arms of Orion」を入れ込んで頂きたい。
もし実現すれば感激のあまり、好きなプリンスの曲トップ10以内にランクインするかもしれない・・・
まあ、存在すれば・・・の話だが・・・
いや、おそらく存在するだろう。

だって「You’re My Love」も「Manic Monday」も「nothing compares 2 U」も存在したのだから、必ず存在する。

その時こそ、目も眩む「オリオン座」の輝きが、このハートを射止めるだろう。

The Arms of Orion

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