Strange Relationship・青春の一曲

Sign 'O' The Times

曲名:
Strange Relationship(ストレンジ・リレーションシップ)

アルバム名:
Sign ‘O’ The Times(サイン・オブ・ザ・タイムズ)

作者:PRINCE(プリンス)

今回紹介するのは、寿限無の人生を変えたアルバム「Sign ‘O’ The Times」の出会いから、30年以上の年月が流れた最近まで、マイ・フェイバリットソングNO.1の地位を独占していた「Strange Relationship」。

哀愁漂うメロディーラインと、何重にも絡み合うプリンスの一人コーラスが、凄まじい情念地獄を生み出したポップロックの傑作!

寿限無の青春はこの一曲と共に駆け抜けたと言って過言では無い。

この曲、何が凄いってサビのコーラス部分。
プリンスが一人で多重録音しているのだが、一つ一つのコーラスが役柄というか人格を持ち、叫び、苦しみ、本音など複雑な感情が激しく絡み合っている。
そう、これは歌と言うレベルの代物ではなく、プリンスの情念から生み出された得体の知れない何かだ。
故に独特の雰囲気を醸し出しているが、コーラス部分はスピード感あってポップで最高に素晴らしい!!
今聴いても昔と変らぬ魅力でゾクゾクさせる不屈の名曲。

あ、でも今は「You’re My Love」に抜かれ、「Forever In My Life (Early Vocal Run-Through)」にも抜かれ、順位はだいぶ落ちてしまったが、改めて聴くとやっぱ唯一無二のカッコ良さがある。
やっぱ、一位に戻そうかな・・・

まあ、順位はさておき、「Strange Relationship」で一番のインパクトと言えば「歌詞」である。
この歌詞に魂を射貫かれて、プリンスミュージックの沼に傾倒していったのは間違いない。

「Strange Relationship」は直訳すると「奇妙な関係」。
この曲の主人公である「彼」と「彼女」の奇妙な関係を歌い上げているのだが、その関係が、まあ、その・・・なんだ、ひじょーにねじくれてんのよ、これがまた。

サビだけGoogle飜訳で載せるので参考にしてほしい。

Baby I just can’t stand to see you happy
More than that I hate to see you sad
Honey if you left me I just might do something rash
What’s this strange relationship?

ベイビー、あなたが幸せそうなのを見るのは耐えられない
それ以上に、あなたが悲しんでいるのを見るのは嫌だ
ハニー、もしあなたが私から離れたら、私は何か無謀なことをするかもしれない
この奇妙な関係は何ですか?

https://genius.com/Prince-strange-relationship-lyrics

プリンスの半自伝映画「パープルレイン」で主人公のキッド役を演じるプリンスも、こんな感じのひじょーにねじくれた青年だった。

傷付くことを恐れ、自身は心を閉ざしたまま、相手の心・体・時間の全てを支配しようとする歪んだ愛情表現が二人を「奇妙な関係」に落として行くが、相手の気持ちが少しでも離れようものなら、幼児のように自我のバランスを崩し、暴力に訴えた挙げ句に自暴自棄になり、同じく「奇妙な関係」に苦しみピストル自殺を図った父と自分を重ね合わせ、一人恐怖にむせび泣く・・・

パープルレインの3年後にリリースされた「Strange Relationship」でも、大凡こんな感じの歌詞なので、歪んだ性格のまま成長していないと思いきや、ラストの「adore」で見事に「崇拝する愛」を真心から歌い上げ、過去の自分と決別して見せたのだ。

パープルレインも最後は、恋人、バンドメンバー、両親、そして自分を許し、ありのままを受入れ、「I Would Die 4 U(君のためなら死ねる)」の無償の愛へと精神を再生し、キッドの成長物語は「Baby, I’m A Star」の快演と共にハッピーエンドを迎えるので、その物語性は「Sign O’ The Times (1987年)」にも引き継がれたと言えるだろう。

しかし、「Strange Relationship」が歪んだ感情の吐露だとしても、全世界の音楽市場で最上級の評価を得る作品の一つであり、プリンスにとっては数多ある曲(一面)の一つに過ぎない。
「Strange Relationship」は、音楽業界に影響を与え続けた稀代の天才、アーティスト・オブ・アーティストの偉大な功績として歴史に刻まれることだろう。

だからプリンスが歪んだ性格であろうと、何も問題はない。

問題なのは、コイツ。
そう、当ブログの管理人。
寿限無ちゃん。

「Strange Relationship」の世界観に酔いしれ、歪んだ「奇妙な関係」に心底共感し、この曲を青春のメインストリートに掲げていたのだから、そりゃ、人間関係も歪になるし、ことごとく恋愛も失敗するわな。
今にして思えば・・・

あの頃は天才プリンスと自分を重ね合わせ、「我が名は寿限無!我はファンキーなり!我こそ世界を変える救世主!」と本気で思い込んでいたのだから、中二病も拗らせすぎると狂気と紙一重。大事に至らなくて本当に良かったと胸をなで下ろしている。

寿限無の成長物語も「Strange Relationship」から「adore」へと階段を登り、今、こうして自身の半生をプリンスと共に振り返るブログを書いているのだから、世界に影響を与えられなくても、自分の世界はちゃんと良き方向へ進んでいたのだ。

もしかしたら寿限無の歪んだ感情を、「Strange Relationship」が音楽という一つの形してくれたお陰で、自分自身を客観視できたのかも知れない。

Strange Relationship (2020 Remaster)

だから、「Strange Relationship」の順位が落ちたとしても、
寿限無を育てた青春の一曲として、今後も燦然と輝き続けるだろう。

おわり。

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