Adore・プリンスの本心

Sign 'O' The Times

曲名:
Adore(アドア)

アルバム名:
Sign ‘O’ The Times(サイン・オブ・ザ・タイムズ)

作者:PRINCE(プリンス)

プリンスは作詞、作曲、アレンジ、自他プロデュース、楽器演奏、ダンス、ワークスタイル・・・どれを取っても独創的で革新的、全てがポップでロックでファンク!(未だにファンクの意味は分らんが)

その多岐にわたる異次元な才能の中でも特筆すべきは、悪魔的な「ボーカル能力」にあると常々感じていました。

今回、取り上げた「Adore」は、特に凄まじいボーカルを披露しています。
全編通してプリンスの別人格カミール寄り(それともカミール?)のファルセットで、彼女に対する思いを切々と歌い上げる…いや、歌と言うより独白に近いボーカルだ。
プリンスほど、歌い手の表情が伝わるボーカルは、今までの人生で聴いたことがなかった。
適切でないかもしれないが、あえて例えるなら中島みゆき的な感情ほとばしるボーカル?
プリンスの場合、さらに喜怒哀楽、愛憎入り交じった万華鏡のような変幻自在のボーカルだけどね。

この曲、美しいファルセット・バラードのようで、どこか滑稽でユニークさを感じさせるのは、そのボーカル能力の賜物だと思う。
彼女に夢中になり過ぎて、妄想の世界にトリップしたような危うさも感じさせるが、この緊張感が聴く者を物語の世界に没入させている。
そして、スピーカー越しの我々ファン一同は、次第にプリンスの感情とリンクしながら、物語は最高のクライマックスへ突入する。

いよいよ感動のフィナーレに酔いしれようと、身も心も曲に委ねていた、その刹那。
プリンスのボーカルが地声に戻る。

感情を抑制できないトリップから醒めたのか?
妄想から正気を取り戻したのか?

いや、これ以上、本心を隠すことが出来なかったのだ。

その地声はあまりにも誠実で、あまりにも胸を打つ。
その表情は真剣そのもの。
彼女に真っ直ぐ向けられた、プリンスの本心に聞こえる。

The last words you hear
“Be with me darlin’ til the end of all time”
I’ll give you my heart
I’ll give you my mind
I’ll give you my body
I’ll give you my time
For all time I am with you
You are with me
You are with me

あなたが最後に聞く言葉は
“全ての時が終るまでずっとそばにいるよ”
私の心をあげる
私の気持ちをあげる
私の体をあげる
私の時間をあげる
人生の全ての時間、私はあなたのそばにいるよ
あなたも私のそばにいて
あなたも私のそばにいて

前回の投稿「Forever In My Life・初期バージョンに隠された素顔の王子」で紹介しましたが、プリンスは恋人のスザンナとの関係に暗い影を落としたまま、「Sign O’ The Times (1986年)」の一枚目のラストに「Forever In My Life」を収録しました。

「Forever In My Life」はどんな感情で聴けばいいのか判断に迷う曲でしたが、プリンスの死後発売された「Sign O’ The Times : Super Deluxe Edition (2020年)」に収録された未発表曲「Forever In My Life (Early Vocal Run-Through)」により、プリンスがこの曲に込めた素顔を知ることが出来たのです。

でも、実は「Sign O’ The Times (1986年)」の時点で、プリンスの本音、彼の本心が打ち明けられていたのです。
歴史的名盤「Sign O’ The Times (1986年)」で、ラストを飾る音楽史に残る名曲「Adore」を通して、彼の本心が既に伝えられていた事を、前回の投稿を終えた夜に、ようやく気が付いたのでした。

ばかばかばか!
寿限無の鈍感!
あほ!まぬけ!へんたい!

まあ、これも彼一流のファンサービス、壮大なトリックなのかも知れない。

adore
あがめる、崇拝する、敬慕する、あこがれる、熱愛する、敬慕(けいぼ)する、(…を)非常に好む、非常に好む

https://ejje.weblio.jp/content/adore

「adore」の意味を調べると、だいたい「崇拝するように愛する」ってニュアンスかな?

寿限無は「プリンスの様なadoreな恋愛をするべ!」と心に誓い、妻と出会ってからその誓いを守り、今に至るまで彼女を女神の様に慕い「adore」な愛を貫いてきた。
そのお陰で夫婦円満、彼女に白髪が生えても、シワが増えても、プックリふくよかになられても、年を重ねるごとに「adore」な想いは高まり続けている。
私が名曲「adore」に感動し続ける限り、彼女に対する「adore」の気持ちも消えることは無いだろう・・・

でも何故か?
ごく希に「パパはヘンタイだよね」「ヘンタイって自覚ある?」「ヘンタイ!」などと、日常生活の中にヘンタイワードをサラリと絡めてくるのだが・・・
寿限無がヘンタイに見えるのって、多分、プリンスの影響だよね?
プリンスの普通ではない感性(音楽、言動)に心酔してる影響が、私生活の中で無意識にアブノーマルな言動として現われているのかも知れない。

おそらく、ヘンタイって最高の褒め言葉だ!

決して性的な意味ではないと思う、たぶん…

Adore (2020 Remaster)
最後に「adore」を聴いて、清らかな気持ちでお帰りください。

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