Vanity6・ランジェリープロジェクト始動!

アルバム基本情報

アーティスト名:
Vanity6

アルバム名:
Vanity6(邦題:セクシーハリケーン)

発売日:1982.8.11

Track List

  1. Nasty Girl (5:10) 
  2. Wet Dream (4:12) 
  3. Drive Me Wild (2:31)
  4. He’s So Dull (2:32) 
  5. If A Girl Answers (Don’t Hang Up) (5:34) 
  6. Make-Up (2:40) 
  7. Bite The Beat (3:12) 
  8. 3 x 2 = 6 (5:24)

アルバムレビュー

1982年8月に発売された、プリンスプロデュースによる3人組ガールズ・グループ「Vanity6(ヴァニティ6)」のファースアルバムにして最後のアルバム、「Vanity6(邦題:セクシーハリケーン)」

天才プリンスは、その溢れ出す才能の捌け口として様々なサイドプロジェクトを発表している。
その中でも初期の傑作!「Vanity6 (邦題:セクシーハリケーン)」
何が傑作、何が凄いって・・・このグループ、アルバムのコンセプトがとにかく凄い!

発売当時のCDに付属されていた解説によると・・・

プリンスが第3作「ダーティー・マインド」で赤裸々にセックスを歌ったように、女性3人に下着を着せ、卑猥なことを直接歌わせよう、というものだった・・・

JULY 21, 1990 : MASAHARU YOSHIOKA

題して「ランジェリー・プロジェクト」
常人には到底発想できない天才の閃き。発想する方もする方だが、歌う方も歌う方、発売する方も発売する方・・・センターのヴァニティこと「デニス・マシューズ」の芸名は当初、女性器を表す「VAGINA」にする予定だったらしい・・・マジか?!プリンス。
結局、デニスに反対され、あえなく撃沈。

まあ、さすがに冗談だろう・・・と思っていたら、昨年発売された1999 SUPER DELUXE EDITION に「VAGINA((ヴァギナ)」という卑猥なタイトルの未発表曲が収録されていた。
デニスのインタビュー記事によれば・・・

プリンスはわたしにヴァギナと名乗れと言ってきて。そうすれば、全国的におまえの名前が知れ渡るぞって。「ふざけんな」って言ってやったわ

1999 SUPER DELUXE EDITION 解説書より

プリンス涙目・・・

ここまで読まれた方はプリンスって腐れ外道!?と思うかもしれない。
うん、確かに発想はドスケベのドヘンタイだし、見た目も変態ちっくだけど、彼は沢山の女性アーティストをプロデュースし世に送り出している。

プリンスと関わった女性達の口から語られるプリンスへの印象はけっして悪くない。
プリンスの心根にあるのは女性に対する深い尊敬の念。
女性提供曲が多いゆえに女性目線の歌詞も多い。
「If I Was Your Girlfriend (もし僕が君のガールフレンドなら)」
自分を女性に投影した繊細な歌詞も存在する。

ヴァニティ、ブレンダ、スーザンの3人はプリンスの指導の下、いかがわしいコンセプトを理解し、いかがわしい役を見事に演じているが、それもプリンスへの信頼感があってこそ。

「Vanity6」のキャラクター・コンセプトは売春宿、ストリップ劇場などで働くステレオタイプの女性。

ヴァニティ(写真右):野性味溢れるアマゾネス風美女。隙を見せたらガブッ!と食い付かれそうな猫科の猛獣。多分プリンスの好み。

ブレンダ(写真左):気怠そうにタバコを咥えた「ザ・ビッチ」の風貌。男勝りで「甘えんじゃないわよ!」と冷たく囁くハスキーボイス。だが一番親身になって話しを聞いてくれそうなタイプ。

スーザン(写真中央):ブラックスキンにしなやかな肢体。つぶらな瞳とロリータの歌声で欲しいものは必ず手に入れる子猫ちゃん。ヴァニティを「お姉様」と呼び(嘘)、ブレンダを「姉御」と呼んで慕っている(大嘘)。

そんな3人娘が歌い踊る淫靡な世界。
プリンスが殆どの曲を書き、演奏し、プロデュースした全8曲に及ぶプリンス・ワールド。
全体的にチープなサウンドを意識した軽いノリなので気軽に楽しめる。
何を聴くか迷った時は「Vanity6(邦題:セクシーハリケーン)」で決まり!

曲紹介

Nasty Girl

控えめに言えば…はしたない女の子。
率直に言えば…エロい女の子。
歌詞はアダルト・オンリーだが、音楽的には超クールでカッコいい!傑作だよね。
プリンスのアルバム「Rave In2 The Joy Fantastic」に「4.Hot Wit U (Nasty Girl Remix)」という曲があり、そこではプリンスが歌う「Nasty Girl」の一節が聴ける。
プリンスもお気に入りの曲らしい。

Tonight i’m livin’ in a fantasy My own little nasty world
今夜、あたしは空想の世界に生きている あたしだけのいけない世界に・・・

CD対訳 沼崎敦子
Vanity 6 Nasty Girl HD

この曲、未だにストリップ劇場の定番BGMらしい・・・

Wet Dream

濡れた夢。
エッチな妄想に耽るエッチな女の子。

我慢できないのよ どうしても
ハニー 彼ってほんとうに素敵
我慢できないのよ どうしても
ハニー あたしのものにしなくちゃ

彼はあたしの可愛い恋人
濡れた夢のナンバー・ワンのスターなの

CD対訳 沼崎敦子

こちらもアダルト・オンリーな歌詞。
プリンスのポップセンスが弾けた華やかでスピード感のある曲調。充分ヒットも狙える完成度の高い曲。

Drive Me Wild

私をワイルドに乗り回して!
3曲連続アダルト・オンリー!!!
歌詞はベタだけど、このアルバムに限りベタこそコンセプトにマッチする。
軽快な電子サウンドに乗せて淡々と歌うスーザン。
まるで催眠術を掛けてダーティー・マインドに誘うように・・・

Vanity 6 Drive Me Wild

He’s So Dull

彼は退屈。
ここだけ雰囲気がガラリと変りティーンエイジャーの甘酸っぱい恋心が歌われる。
卑猥から健全へと振り切った底抜けに明るいキャッチャーな曲調は、一聴した感じアルバムから浮いて聞こえるが、一服の清涼剤的効果を醸し出す佳曲。
この曲だけバンドメンバーのデズ・デッカーソン作。

Vanity 6 – He's So Dull

If A Girl Answers (Don’t Hang Up)

彼氏の二股相手に電話を掛けてのトークバトル!
中盤からブレンダが受話器を奪い参戦、ヴァニティに替わって罵詈雑言の嵐!二股相手に反撃を許すことなく最後まで押し切る頼もしさ。
二股相手の女性を演じるのは我らがプリンス!嫌な女に扮しての歌い方が終始シャウト気味で超カッコいい!本アルバム一番のハイライトであり、一番のお気に入り!
プリンスを聞き始めたころ、遡って過去の作品を収集していた時に「こんな凄い曲が埋もれていたのか!?」と、天才プリンスの恐るべきポテンシャルを認識させた楽曲なのだ。

Make-up

再びスーザン登場。
彼の気を引くため健気にお化粧・・・いや、タバコで一服しながら、獲物を狩るための入念な下準備。「Drive Me Wild」同様の淡々と精神を蝕む催眠術系サウンド。
プリンス没後に発売されたアルバム「ORIGINALS(オリジナルズ)」にはプリンスが歌う同曲が収録されている。プリンスの乙女心(?)が垣間見られる?!
どうせならアルバム丸ごとプリンスボーカル版「Vanity6」を発売して欲しかった・・・今後に期待。

Bite The Beat

ブレンダ姉御が「ビートを噛んで!」と歌う。

あなたの歯を見たとき あなたこそこのビートをかむにふさわしい唯一の人だってわかったわ ママに電話しようとしちゃだめ 満足するまでかめばいいの あなたならできる ビートをかむのよ さあハニー ビートにかみつくの

CD対訳 沼崎敦子

ビートって一体なんの比喩だ?キャビアみたいな味がするらしい・・・。
恐らくママが聞いたら卒倒するもの?
見た目は中年、中身はお子ちゃまな寿限無に「Vanity6」のアダルト・オンリーな世界観は難解過ぎる。
だが曲は軽快なエレクトロ・ポップ調。結構ノリノリで聴ける!

3 x 2 = 6

ここでも謎の数字「6」
グループ名「Vanity6」にも謎の「6」
3人組なのに「6」
どうやらプリンスは女性をお乳の数で数えるらしい。
3 x 2 = 6 つまりお乳は6つ。
やはりプリンスは腐れ外道なのか・・・いや、きっとマザコンなんだよ。
アルバム中唯一のスーローバラード系。メロディーはクリスマスソングのような清らかな響き。歌詞は意味不明・・・いや、意味深だ。

女の子のいちばん大切な友だちはプライド 男の場合は虚栄かも・・・

誰にだって3年の試練があるものだけど
こと女の場合は
3 x 2 = 6 なの

CD対訳 沼崎敦子

以上、全8曲トータルで聴いても30分ちょい。
手軽に聴ける天才のアナザーサイド・・・

・・・と、本来ならここで終わるところだが・・・
寿限無の「Vanity6」ライブラリーは、追加で幻の1曲加えた全9曲で編成されている。
幻の1曲とは諸事情でお蔵入りになった「Vibrator(バイブレーター)」。7分を超える大作で超アンダーグラウンドな曲。後半の寸劇では、お店の店員役でジル・ジョーンズ、そしてプリンスも登場。
プリンスらしいポップでキュートなサウンド。アルバム未収録が悔やまれる傑作。
この「9.Vibrator」を加えた全9曲で「Vanity6」は完成するのだ!
気になる人はYoutubeで探して聴いてください。
あっ、でも絶対に家族と一緒に聴いちゃ駄目だからね!

プリンス・サイドプロジェクト「Vanity6」の世界を存分に楽しんでください!

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