【アルバム】 Sign ‘O’ The Times・新ジャンル降臨!プリンスミュージックの衝撃!

アルバム: Sign ‘O’ The Times(サイン・オブ・ザ・タイムズ)
  1. Sign ‘O’ The Times
  2. Play In The Sunshine
  3. Housequake
  4. Ballad Of Dorothy Parker
  5. It
  6. Starfish And Coffee
  7. Slow Love
  8. Hot Thing
  9. Forever In My Life


  1. U Got The Look
  2. If I Was Your Girlfriend
  3. Strange Relationship
  4. I Could Never Take The Place Of Your Man
  5. Cross
  6. It’s Gonna Be A Beautiful Night
  7. Adore

寿限無のプリンス人生を語る時、絶対に外せないのがプリンス不屈の名盤「Sign ‘O’ The Times(サイン・オブ・ザ・タイムズ)」。
なぜなら、このアルバムから寿限無のプリンス人生は産声を上げたのだ!

それまでの私にとって音楽は「聴いて楽しむもの」。当たり前のことだけど、それ以上でも以下でもなく、音楽に対して特別なこだわりはなかった。

それが、あの日、家電量販店の店頭ワゴンで在庫処分品として叩き売られていた「本アルバム」を手にし、家のスピーカーから音を流した瞬間から、これまで「音楽」に抱いていたイメージは、全く別のものに生まれ変わった。

それは単なる気まぐれだったのか?
気の迷いだったのか?
それとも運命だったのか?

単に、2枚組で他のセール品よりお得感があったから?
取りあえず、2曲の全米TOP10ヒットを含むアルバムだったから?
セカンドシングル・U Got The Look(ユー・ガッタ・ザ・ルック)は、前回に投稿した通り、好みのタイプでは無かったが「カッコいい」認定をした曲であり、巷で天才と噂されるアーティストのアルバムを1つくらい所持するのもクールかも知れない・・・。
などなど、様々な思惑が混じり合った結果、値引き価格1000円ポッキリのアルバムを手にしたのだ。
そのアルバムが、今後の人生において大きな存在となる「運命」とも知らずに・・・。

突然だけど、プリンスとプロレスって似ていると思わない?
寿限無はプリンスとプロレスが大好物なのだが、両者には興味深い共通点があるのだ。
4文字で先頭が「プ」、最後が「ス」で終わる・・・いやいや、そんなことではなく、もっと哲学的な共通点。

寿限無は、子供頃、アントニオ猪木のブリッジ力に魅せられて以来、今日に到るまでプロレス観戦(観戦と言ってもTVが殆ど)を趣味にしているが、プロレスほど考えさせられる「もの」はない。
プロレスって一体何なのだ?
プロレスの他に、その存在意義を問い続ける「もの」はあるだろうか?

なぜ「もの」と表現したかと言うと、プロレスを分類する妥当なジャンルが見当たらないからだ。

例えば「サッカー」を観戦している人が、「サッカー」って一体何なのだ?なんて疑問は持たないし、持つ動機もない。なぜなら、「サッカー」はスポーツのジャンルに分類出来るからだ。TVのスポーツニュースでも当然「サッカー」の結果は放送されるのに対し、プロレスの対戦結果をスポーツニュースで放送されることは無い。なぜならプロレスはスポーツでは無いからだ。

たまにプロレスをスポーツと呼び、プロレスラーをアスリートと呼ぶ人がいるが、その言葉を聞く度に違和感を覚える。

プロレスは「スポーツ」に分類するには余りにもルールが無茶苦茶だ。スポーツとはルールが厳格に決められているからこそ、公平に競い合うことが出来るが、プロレスには5秒間は反則が許されており、その間ならパイプ椅子で殴打しようが、噛みつこうが、ルール無用の戦いが展開される。ゆえにプロレスは絶対にスポーツではない。

ならば格闘技だろうか?
いや、格闘技と呼ぶには余りにも面白過ぎる。そして余りにもハートフルだ。プロレスの基本はお互いの攻撃を受け合い、お互いが輝きつつ試合を盛り上げ、その上で勝敗を決する。相手の攻撃をまともに受け、耐える力を競う時点で格闘技ではない。格闘技の基本は一撃必殺。攻撃を受けた瞬間にKOされてしまう。

ならエンターテインメントだろうか?
プロレスはお客様を楽しませることを第一とする点からエンターテインメントの側面が濃厚だが、エンターテインメントと呼ぶには余りにも危険過ぎる。体を傷付け、命をすり減らし、大怪我も覚悟で試合に臨む。実際、高山選手は頸椎を骨折して、首から下を麻痺する大怪我を負った。ヒロム選手も首を骨折して長期欠如を余儀なくされた。
プロレスをエンターテインメントと呼ぶには、余りにも選手に対する敬意が足りない。

ならばプロレスとは一体何のか?
寿限無が長いプロレス問答で出した答え・・・それは・・・
プロレスはプロレス。
馬鹿みたいに当たり前の答えだが、プロレスはプロレス以外に表現のしようがない。
プロレスはどんなジャンルにも属さない。プロレスそのものがジャンル。
プロレスラーもプロレスラーと呼ぶのが最も敬意を表すに相応しい呼称なのだ。

プリンスの話をしているのに、なぜ、プロレスの存在意義を語っているのか?お前は何が言いたいのか?・・・と疑問に感じていると思う。
しかし多くのプリンスファンならば、寿限無が言いたいことは大体察しが付いていると思う・・・

音楽にはロック、ソウル、ジャズ、フォーク、カントリー・・・など、様々なジャンルに分けられているが、プリンスは一体どのジャンルに当て嵌まるのか?と考えた時、これまで存在する既成のジャンルでは、どれも違和感を禁じ得ない。

プリンスの音楽はロックなのか?ソウルなのか?ジャズなのか?まあ、カントリーではなさそうだ・・・けど、どれも、プリンスの音楽を表現するのに、しっくり来るジャンルは見当たらない。

しかし、それは私だけが抱いていた葛藤ではなかった。
プリンスファン全員が抱える葛藤だった。
プリンスのジャンル分け問題は音楽業界も例外ではなく、むしろ音楽業界、とくにレコードを販売する時にジャンル分けするプリンス担当者こそ、この葛藤に悩まされ眠れない日々を過ごしていたのだ。
しかし、そんな苦しみの日々に突然、光が差し込んだ!
突然、素晴らしいアイデアが閃いたのだ!
こうしてアルバム「Sign ‘O’ The Times(サイン・オブ・ザ・タイムズ)」の帯に表示するジャンルが決定した。
そのジャンルこそ・・・

「プリンスミュージック」

レコード屋で「プリンスミュージック」なるカテゴリを見た時、私は心の中で喝采を挙げ、担当者に盛大な拍手を送っていた。

他のどんなジャンルにも属さない独自の音、独自の世界観に彩られた唯一無二のアルバム「Sign ‘O’ The Times(サイン・オブ・ザ・タイムズ)」。

つまり、そんな感じのアルバムなのだ。

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