毎週水曜日に近所の教会から『天理時報』がポストに届けられる。
これまで全く興味をそそられなかったが、年老いた女会長さんがポストに入れる姿を見て少し申し訳なく感じ、つい出来心で開封したのが運のつき。
まさか、こうして『天理時報』の記事を投稿することになろうとは・・・
若い頃に何度か目を通したことはあるが、その度に掲載されている内容に冷ややかな感想を抱いていた。
世界たすけなど壮大な目標を掲げる割に世間を後追いし「ほら!あの偉い教授や話題の人物もおやさまと同じことを発言している!だからお道は正しい!」など、虎の威を借る狐のような情けない記事も散見され、その度にツッコミを入れていた。
しかし、その頃の筆者は世間の感覚にどっぷり浸かった小生意気な若造。
あれ以来、多少なりとも毛が抜け落ち・・・否、教理を学び澄んだ心で『天理時報』を読み解けば、教団が発信する『天の声と思しき崇高な御言葉』に喜びの涙を流すに違いない。
誰の視点?
ところがどっこい。
流石は天理教公式機関誌である。
こちらの成人の更に上を行く挑発的な記事で信仰者の思い上がりをへし折りにくる。
時報「その程度の信仰で成人したとか片腹痛い!貴様ら下々が得られる成人など児戯に等しい!!」
筆者「ふ、この私も見くびられたものだ」
時報「こざかしい!この記事でもくらえ!!」
筆者「・・・!?」
ごめん。やっぱ無理。
天理時報の”視点”って
『小学生の視点かーーーー!』って思わずツッコんでしまいました。
その記事こそ、筆者の成人をあざ笑い踏みにじる最初の刺客。
立教185年(2022年)8月3日発行、天理時報の視点『道に迷いそうなときこそ』。
視点『道に迷いそうなときこそ』
前文省略・・・
SDGsの17の目標ゴールのさらに向こうにある「陽気ぐらし」という最大・最終の目標を目指し、国を超え、足並みをそろえて進むならば、異常気象もエネルギー問題も国際情勢も、あらゆる人類の課題は解決に向かうであろう。
人々が道に迷いそうなときこそ、この教えは確かな道しるべとなる。混迷を深める今こそ、お道の真価が発揮されるときだと肝に銘じたい。(早淵)
前文は「世界で様々な問題が起きてるけど他人事ではなく全てが自分自身に関わる問題だよね。SDGsって大事だよね。」って話をしている。
まあ、それについては特に言うことはありません。
今、世の中で起きている事象を端的に説明しているだけなのでサラッと読み流すことはできました・・・
が、問題は「国を超え、足並みをそろえて進むならば」の箇所。
国を超え、足並みをそろえて進むならば?
国を超え、足並みをそろえて進むならば??
国を超え、足並みをそろえて進むならば???
あなた、サラッと簡単におっしゃいましたが、
国を超え、足並みをそろえて進むことが最も困難であり、最大の課題ではないのか?
それは、先のSDGsの例一つとっても明らかなこと。
道に迷ってるのは誰?
日本では誰もが知っているSDGs。
SDGsとは、人類がこの地球で暮らし続けていくために、2015年の国連総会において全会一致で採択された『2030年までに達成すべき17の目標』。
・・・のはずですが・・・なんと!
SDGsは国連で採決されたにも関わらず、なぜか日本とジンバブエでしか流行っていないというデータが公表された。
先進国では「SDGs」の関心は低く、「ESG」や「D&I」が主流とのデータも。
しかも、見せかけのSDGsを揶揄する「SDGsウォッシュ」なる造語もでてくる始末!
2番目の参考記事によると「SDGsはもともと開発途上国支援の枠組みだった」らしく、そのゴールとは「極度の貧困と飢餓の撲滅」「幼児死亡率削減」「HIV・マラリア等の蔓延防止」など開発途上国向けが中心であり、途上国援助という骨格を内包しているので、検索ランキングではアフリカや南アジアの国々が上位にランクインするのだ。
しかし、なにゆえ、日本だけが他の先進国に比べ検索数が断トツTOPなのか?
なぜ、日本においてSDGsが絶対正義のごとく猛威を振るっているかと言うと・・・
「日本は国連がめっちゃ好き」という実にシンプルな理由らしい。
欧米先進国の国連観は異なっている。彼らがSDGsに無関心なのは合点が行く。むしろ、国連を軸とした議論からは降りている国が多い。
日本でのSDGsブームをよそに、他の先進国は国連が提唱するSDGsには興味を示さず、ESG(利益を伸ばすために、環境や社会を考慮する)へ傾倒しているのが実情。
まあ、そうなるよね。
みんな自国・自社、自分の利益が第一だし。
世界が足並みをそろえて目標を達成しよう!
耳障りの良い言葉を掲げても、国力に歴然とした格差がある状態なのに足並みが揃うはずがない。
建前だけの国連や、弱小国がいくら「足並みをそろえよう!」と訴えたところで、強大国が自らの利益を損なう提唱に従うはずがない。
だって経済的に豊かな国は『自らの財をなげうち他者を助ける』不利益を被るのだから。
途上国の援助には莫大な財源がいる。
ユニセフなんて七十年前から募金活動しているけど、未だ世界には最大8億1,100万人が飢餓に苦しんでいる。
個人や民間レベルの募金活動で世界の貧困を救えるわけがなく、もはや国家レベル、世界レベルで挑む以外に問題の根本的解決はありえない。
もし仮に、アメリカや中国など強大国が手を取り合うなら、間違いなく世界の足並みは揃い、SDGsの目標は早々と解決に向かうはずだが・・・まあ、無理な話、夢物語だよね。
『自らの財をなげうち他者を助ける』
己の利益を一番に考える世の中で、こんな奇特な方法に価値を見いだせる人はいるだろうか?
あれ?
アタシ、その奇特な人知ってるかも。
うん、ぼくも知ってるよ。
奇特すぎて世間から笑い誹られた女性だよね。
私も知っています。
天理教信者にとって『自らの財をなげうち他者を助ける』ことは、最もポピュラーで慣れ親しんだ救済方法の一つですから。
アタシは信者ではないけどね。
天理教の歴史において『自らの財をなげうち他者を助ける方法』を実践した人物が存在しました。
そう、我らが教組(おやさま)こと『中山みき』。
天理教の逸話にある通り『中山みき』は親神様の思し召しに従い、家財道具や食料を貧しい者たちに分け与え、家族諸共『貧のどん底』に落ちたのです。
世界の誰もが首を傾げる奇特な方法で貧困者を救済した逸話を残し、今や天理教団に燦然と輝く道のひながたと成られたのです。
だが現在の教団はどうだ?
「三年千日、ひながたの道を辿らせていただこう!」と口だけは達者。
教団本部が下々をせっつくだけで後は他人任せ。
その傾向は『天理時報』にも如実に現れている。
「陽気ぐらし」という最大・最終の目標を目指し、国を超え、足並みをそろえて進むならば、異常気象もエネルギー問題も国際情勢も、あらゆる人類の課題は解決に向かうであろう。
こんな綺麗事は小学生でも言える。
足並みを揃えるまでの道のりが最も困難ではないのか?
その方法が分らず世界中が足踏みしているのではないのか?
小学生の作文じゃあるまいし、なんら具体的な方法も示さず理想だけを語り続ける。
それがさも真理であるが如く。
もしそれが真理と言うなら、先ず『中山みき』の教えを継ぐ中山家をはじめ、教団上層部がひながたを実践し、信仰の実を示す必要があるのでは?教祖のひながたを道の指針とする割に「天理貴族」などと揶揄される矛盾。
現在の中山家をはじめ、教団上層部は本当にひながたを辿っているのか?
教内だけみても経済格差は歴然と存在し、上が得し下が損をする不平等極まりない悪しき仕組みが、代々金科玉条のごとく大切に継承されている。
下から上に富を吸い上げ、親に滅私奉公する子をよしとする時代遅れの組織。
世界一列兄弟姉妹が聞いて呆れる。
もし本気で世界たすけを目指しているなら、もし本気でその目標に足並みを揃えられると理想を語るなら、『世界ろくじに踏みならす』と説かれた教祖に従い、先ずは教団本部が富を分配し、上下の区別なく、家系の差別なく、教内の不平等を撤廃してこそ『足並みをそろえれば』と発言できるのでは?
どうやら中山家・教団上層部は代々信仰心が厚く徳があるから富や家系に恵まれているらしいよ。
それじゃ、今世で徳を食いつぶし、来世は牛馬に落ちるのね。
めでたし、めでたし。
いさみさん、言い過ぎです。
でも、もし徳があると言うなら、その徳を活かして尚更ひながたを実践し、貧に窮する下々を救うことができるのでは?
世界中に分配するほどの財源は無いにしても、少なくとも教内に分配し、教内一列を上下貧富の格差をなくすことくらい造作もないはず。
先ずは世界に先駆け、天理教団が教内ろくじに踏みならし、足並みをそろえて進むならば、世界に模範を示すモデルケースとなり、世界を牽引する一大宗教団体へとのし上がる可能性もワンチャン!?
『自らの財をなげうち他者を助ける』
これこそ天理教団ならではの具体的な救済方法ではないか!
もし、それが実践できるなら『国を超え、足並みをそろえて進むならば』の一文にも大きな説得力をもたらすと断言できる。
まあ、最後に『肝に銘じたい』と纏めているように教団の今に対して憂いているのだろう。
人々が道に迷いそうなときこそ、この教えは確かな道しるべとなる。混迷を深める今こそ、お道の真価が発揮されるときだと肝に銘じたい。
この混迷する世界情勢の中、世界救けを標榜する天理教団こそが『道に迷っている』張本人なのかもしれない。
それとも筆者以外は『さすが時報!良いことおっしゃる!』と溜飲を下げているのかな?
おわり
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