天理用語の解説 『道具衆』
『道具衆』とは?
このよふのしんぢつの神月日なり
あとなるわみなどふくなるそや (6-50)
道具衆とは・・・
元の神・実の神・月日が人間創造の道具として引き寄せた魂。
月日の2神、道具衆の8神が一手一つに纏まり、十全の守護で人間世界を成り立たせています。
泥海古記(どろうみこうき)
この世の元初りは、どろ海であつた。
月日親神は、この混沌たる様を味気なく思召し、人間を造り、その陽気ぐらしをするのを見て、ともに楽しもうと思いつかれた。
月日は、泥海の中に無として佇んでいました。
泥海とは月日の意識状態。
何の考えも無く、どろ海のように意識に纏まりがなく、全知全能の力を持てあましている状態。
月日は泥海世界を味気なく思い、人間を創造し、守護を与え、人間の陽気ぐらしを見て共に楽しもうと思し召された。
人間創造は、全知全能が導き出した至高のアイデア。
この時、無(泥海)の状態だった月日の心が定り、形ある意志を有した無形となられた。
無から無形へ。
目に見えないが、宇宙を創造するほど確かな意志がある無形の神は、有形の人間を創造する準備に取り掛かりました。
月日が初めに所望されたのは人間を創造する道具。
うを、み、しゃち、かめ、うなぎ、かれい、くろぐつな、ふぐ。
8つの魂を道具の候補として引き寄せました。
引き寄せられたと表現されていますが、泥海は元々月日両人しか存在しない世界なので、月日の魂を分けた「分け御霊」と考えられます。
月日の「分け御霊」である道具衆は人間と同じ自由の心を授けられています。
道具衆は自由の心から月日の申し出を受入れ、人間のため月日と共に働く一筋心を定めたのです。
月日と道具衆が一手一つに働くために、それぞれの特性に合わせて道具の理(守護の役割)と神名を授けました。
道具の理
月日 神名:守護の役割
- くにとこたちのみこと(月様):
人間身の内の眼うるおい、世界では水の守護の理- をもたりのみこと(日様):
人間身の内のぬくみ、世界では火の守護の理
道具衆 神名:道具の理(守護の役割)
- くにさづちのみこと(かめ):
人間身の内の女一の道具、皮つなぎ、世界では万つなぎの守護の理- 月よみのみこと(しゃち):
人間身の内の男一の道具、骨つっぱり、世界では万つっぱりの守護の理- くもよみのみこと(うなぎ):
人間身の内の飲み食い出入り、世界では水気上げ下げの守護の理- かしこねのみこと(かれい):
人出産の時、親と子の胎縁を切り、出直の時、息を引きとる世話、世界では切ること一切の守護の理- たいしよく天のみこと(ふぐ):
出産の時、親の胎内から子を引き出す世話、世界では引き出し一切の守護の理- をふとのべのみこと(くろぐつな):
引き出し一切の守護- いざなぎのみこと(うお):
男雛型・種の理- いざなみのみこと(み):
女雛型・苗代の理
道具の理(守護の役割)は、月日の思惑に一筋心で働くことを前提として付与された力。
もし仮に、道具衆が一筋心を失えば道具の理が機能せず、この世から守護が消えてしまいます。
道具衆に道具の理を授けた以上、月日といえ代行する権限はなく、守護が消えれば人間世界も消滅する他ありません・・・
だからと言って心配する必要はありません。
月日が見定めた上で選ばれたのだから、道具衆が一筋心を失うことはありません。
道具衆の一筋心は永遠。
人間のように心を定めたり、人間心に戻ったり・・・
心がフラフラしません。
故に神なのです。
一度定めたら永遠に定まる。
これが一筋心。
しかし、無条件に定めたわけではありません。
その前提にあるのが月日との約束。
最初に産みおろす子数の年限が経つたなら、 宿し込みのいんねんある元のやしきに連れ帰り、神として拝をさせようと約束し、承知をさせて貰い受けられた。
約束を交わし、承知させる。
つまり、条件付きで人間創造の道具として働くのです。
最初に産みおろす子数の年限・・・
つまり、
9億9万9千9百99年後の天保9年10月26日の旬刻限。
みきを「月日の社」に貰い受けることで、道具衆との約束が果たされる。
月日が道具衆と交わした「元の理」の約束を念頭に当時を振り返ると、なぜ神様はあれほど強引に迫ったのか?
その緊迫した状況が理解できると思います。
道具衆の魂
我は元の神・実の神である。この屋敷にいんねんあり。このたび、世界一れつをたすけるために天降った。みきを神のやしろに貰い受けたい。返答せよ!
みきの口から、威厳のある神様の声が響き渡り、そこにいた人々はただただ平伏し、恐れおののきました。
みきの夫、善兵衛が断りを申し上げると・・・ならん!ならん!
神様の言葉はますます激しくなり、一向に引く気配はりません。
神様の考えが分からぬ善兵衛が再び断りを申し上げると・・・元の神の思わく通りするのや、神の言う事承知せよ。聞き入れくれた事ならば、世界一列救けさそ。もし不承知とあらば、この家、粉も無いようにする。
月日親神様は、激しく強引に人間に迫りました。
もし、みきを神の社に差し出さなければ、中山家を粉も無いようにするほど切羽詰まった因縁。
半ば脅迫めいた強引さで、中山家の因縁を明かしたのです。
それが「道具衆と交わした約束」。
最初に産みおろす子数の年限が経つたなら、 宿し込みのいんねんある元のやしきに連れ帰り、神として拝をさせようと約束・・・
もし、善兵衛が断ったら?
・・・不承知とあらば、この家、粉も無いようにする。
月日との約束が反故になれば、道具衆がストライキを起こし、道具の理も機能を失います。
人間世界から一切の守護がなくなれば、この世の全てが跡形も無く消え去ってしまう。
それでは今までの苦労が水の泡、全てが元の木阿弥。
半ば強制的でも、道具衆との約束を果たすことが、何よりも優先される状況だったのです。
なぜ、中山家に白羽の矢が立ったのか?
みきが神の社に選ばれたのは偶然なのか?
実は、みきの魂はいざなみのみこと。
人間創造の元はじまりの時、九億九万九千九百九十九人の子を産み下ろした全人類の母であり、善兵衛の魂はいざなぎのみこと。
いざなみのみこと、いざなぎのみこと、この両人は夫婦の雛形。
そして中山家は人間発祥の地、人間宿し込みの元なる地場が所在する由緒ある場所。
中山家を神が住む神屋敷へと立替え、地場を世界救けの拠点にするのが月日のご計画。
旬刻限を迎えるにあたり、月日は準備万端整えていたのです。
このよふのはじまりたしハやまとにて
やまべこふりのしよやしきなり (11-69)そのうちになかやまうぢとゆうやしき
にんけんはじめどふくみへるで (11-70)このどふぐいざなぎいゝといざなみと
くにさづちいと月よみとなり (11-71)月日よりそれをみすましあまくたり
なにかよろづをしこむもよふを (11-72)
- 中山善兵衛 = いざなぎのみこと
- 中山みき = いざなみのみこと
- 中山秀司 = 月よみみのみこと
- 中山こかん = くにさづちのみこと
人間の視点から見たら強引でも、魂の視点から見たら約束通り。
もちろん本人達に魂の記憶はありません。
人間である以上は自由の心を持ち、神様の申し出を受けることも、断ることもできる。
今、善兵衛に人類の命運は委ねられ、人類の代表として妻みきの入り込んだ神様と対峙していたのです。
世界救け or この家、粉も無いようにする
究極の二択・・・
否、一見、二択を迫られているようで完全な一択。
このまま憑依状態が続けば、みきの体は激しく衰弱し最悪の事態も考えられる。
伸るか反るかの厳しい状況に見えて、実は伸るしか選択肢はありません。
善兵衛にとって余りに理不尽な要求・・・
だが、約束を交わしたのは当の本人。
自分の魂が前世で交わした約束をめぐり、現世の自分が決断を迫られている不思議な状況。
だが、これが道具衆の役目。
どんな苦難も、九億九万九千九百九十九年の苦労も、全ては世界一列の可愛い我が子のため。
例え、今は分からなくても、後々魂のいんねん・元のいんねんを説き聞かせば、魂に目覚めて世界救けの立役者として成人するに違い無い。
元々、月日の思惑を聞き分け、人間創造の道具として一筋心で働くと定めた魂。
現世でも教祖の言葉を聞き分け、全人類の良き雛形として一筋心を定めてくれるに違いない・・・
それが月日の目論み。
結果、善兵衛は親族の反対を押し切り、みきを神の社として差し出しました。
中山家は粉にならず、世界一列は救われたのです。
めでたし、めでたし・・・
ではなく、これからが世界一列救ける道のはじまり、はじまり。
どうでしたか?
以上が旬刻限の内幕。
みきは神の社を引き受け、善兵衛はお家大事の時代に世情より妻を選び、秀司とこかんは母みきを支え、それぞれが道具衆の魂として見事に役割を果たしたお陰で、今日まで世界一列に守護が溢れているのです。
まとめ
目の潤い、温み、飲み食い、体の動き・・・
火、水、空気、衣食住、環境・・・
この世の形ある全ては、月日のつとめ。
そして、月日の思惑に一筋心でつとめる道具衆のお姿。
一日の始まりに拝をし、日中、出来ること成り来ることを喜び、一日の終わりに拝をする。
一日に賜る守護を実感し、月日道具衆のお働きに感謝の心で拝をする。
たった、これだけで、世界に守護に満ち溢れ、世界一列は陽気尽くめに続いて行くのです。
つとめさいちがハんよふになあたなら 天のあたえもちがう事なし(10 34)
これで『道具衆』の解説を終わります。
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